輪島。沈金。
漆に関して調べ物をしている時に「沈金」という技法を知りました。と云うか沈金を知らなかった。 漆器の加飾といえば蒔絵や象嵌で、沈金を画像で見た時に少し引いた感じの華やかさに魅力を感じました。 それで調べていったら輪島が有名との事。石川県含め北陸は憧れの地だったこともあって、いつか行けたらなあと思っていました。
11月に訪れる予定を立てたけれど思いがけず仔猫保護があったから見送ろうとしていたら家族が見てくれるとの事で、甘えて輪島へ行ってきました。 沈金体験をできる工房は金沢にもあるけれど、そう度々は来られないしここは一気に輪島へ。 夜に小松に着いてそこからバスで金沢へ、1泊して朝一で輪島行きのバス。
車内から海が見えて、日本海だ!とわくわく。靄がかかって綺麗だった。 輪島に着いたら急いで体験工房へ。
前もって電話で沈金を希望する旨をお伝えしてました。 輪島塗りや技法について説明頂いた後、職人さんに「本当に沈金をするとは思わなかった」と言われました。蒔絵を希望される方が殆どとの事で、この為に輪島に来たと伝えると、工房閉まるまでやってていいですよ~と言って貰いました。
図柄の枠部分だけが彫られたお皿を選びます。 (最初は無謀にも下絵から全部やってみたいとお願いしたら、いいけれど時間的に無理かも、と言われて。実際にやってみたらいかに無謀なお願いだったか分かった。笑) この内側を専用のノミで彫っていきます。 先ずは練習。力が入り過ぎて、先生の彫りで出る音と全然違う。 コツを掴むまでかなり時間が掛かりました。先生、不安になる...。 塗りの職人さんが何度も重ねて仕上げたものを削るという、蒔絵とはまた違う緊張感。
1本のノミで線や点を彫ります。周りに出ているのは削った欠片。 私は点を彫るのが特に難しかった。
沈金ノミ。 職人さんそれぞれご自身で研ぎ直すそう。こういうのが堪らない。
彫りが浅い箇所を直して貰います。先生が掘り出す線を見ていると気持ちがいい。
彫った部分に生漆を入れ金粉や金箔をのせて完成。 結局夕方近くまで作業させて貰いました。もの凄く集中した時間、愉しかった。
工房にあった沈金の箪笥。うつくしいです。
工房を出たら雷が鳴って雨が強く降ってきたので散策は諦めて早々に宿に入りました。
沈金ともうひとつの願い。 どうしても輪島で海が見たいので翌朝歩いて海岸へ。
人々が動き始めるほんの少し前の時間。
沢山の船が並ぶ漁港を足早に通って。
念願の海。 海に会うと「ただいま」な気持ちになる。
そして広いそらも。
20分ほど海を眺めて金沢行きのバス停を目指します。 帰り道は漁港の人々や登校の学生さんでにわかに活気づいていました。 海外の旅もそうだけど、自分の知らない土地で人々が日常を過ごしているのをぼんやりと眺めるのが結構大切な目的。だからその景色も垣間見れて思い残す事なし。
能登への旅は沈金と海と美味しい魚で、かなりの駆け足ながらにも満喫できた2日間でした。 やっぱり旅はいいな。
沈金のお皿、そういえば完成したのを撮ってなかった。機会あったら載せます。
mimako